大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(う)2947号 判決

被告人 笠原利夫

〔抄 録〕

なお、職権を以て調査するに、原判決は、被告人は昭和三十年二月二十三日東京地方裁判所において賭博開張図利幇助罪により懲役六月に処せられ、当時判決確定の上その執行を終つたものであるとの事実を認定し、この事実に基いて刑法第五十六条、第五十七条により累犯の加重をした上被告人を懲役四月に処していることは原判文上明らかなところであるが、被告人の原審公判廷における供述並びに被告人に対する前科調書の記載によるも、被告人が右原判示のごとき前科を有することはこれを認め難いところであつて、当審における職権調査の結果によるも右のごとき前科の存しないことは明らかなところであるから、原判決はこの点において事実を誤認したものというのほかはない。しかしながら、被告人の原審公判廷における供述並びに被告人に対する前科調書の記載によれば、被告人は昭和三十年十一月二十八日宇都宮地方裁判所において業務上横領罪により懲役四月に処せられ、当時その刑の執行を終つたことが明らかであるから、被告人にこの前科が存する以上、原判決が被告人に対し刑法第五十六条、第五十七条を適用し累犯の加重をした上量刑処断したのは結局において相当というべく、前記の誤りは判決に影響を及ぼさないものといわなければならない。

(坂井 山本(長) 荒川)

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